今治で活躍している人にインタビュー
豊島吾一さんは、「今治高等学院」の学院長でありながら、「今治ホホホ座」を主宰し、音楽フェス「ハズミズム」の代表をつとめ、「うお駒」を経営、スティールパンの演奏者でもある。マルチな才能を発揮し、今治の中心市街地を拠点にさまざまな活動を行っている。
今治市生まれ。東京の大学へ進学し、卒業後は都内で働き、26歳の時に今治にUターンした。祖父が亡くなり自分の生き方を考えるようになったことと、大学時代から東京でさまざまな体験をして、都会ではもうやりたいことはないなと思ったことがUターンのきっかけだったそう。Uターン後は父親が経営する塾を手伝いながら、「今治高等学院」を設立する。
「今治高等学院」は20人ほどの小さな高校。通ってくるのは、学校になじめなかったり、障がいがあったり、学校がすこし苦手な子どもたち。「生徒たちを新しい世界への入り口まで連れて行くのが自分の仕事」と語る。未来を切り開いて前に進もうとする彼らを後押しする役目、そのために豊島さんは学校での勉強だけでなく、イベントの手伝いをしてもらったり、音楽に触れさせたりしながら、人と接することや社会に出ることを面白いと思ってもらえるような体験を提供している。
豊島さんの活動のもうひとつの軸は「音楽」。「ハズミズム」は2013年から開催している音楽イベントで、子育てや家族をテーマに、小さな子ども連れでも気兼ねなく思いきり音楽を楽しんでもらいたいという想いではじめたそうだ。これまでに5回開催し、多くの人が訪れる人気のイベントとなった。しかし豊島さんはそれに満足はしない。「ハズミズムは、1年に1回の単発イベント。もっと日常的に今治のまちなかでできることはないだろうかと考えていて、拠点をつくってもっと動けるようになれば面白いのでは?と思っていました」(豊島さん) 世間話の流れでその構想をホホホ座の代表に話した。「面白いという感覚が合えば何をしてもかまわないから」と、軽いノリだったと当時を思い出して笑う。かくしてのれん分けの形で「今治ホホホ座」が誕生した。
今治ホホホ座の活動としては、音楽ライブやイベントやワークショップなど。自身もスティールパンの演者でもある豊島さん、音楽への造詣が深く、音楽ライブも個性溢れる一流のアーティスト呼んで開催している。また、地元ではあまり注目されていないけれど実はスゴイ資源に光を当てた『ぼくらの市民会館』『空想商店街』など、これまで誰も思いつかなかったイベントを成功させてきた。豊島さんは今治をもっとおもしろくしたい!という思いを胸に活動している。
「モノはネットで買えるけど文化は買えない。田舎に住んでいたらライブやコンサートなど芸術や文化から遠ざかると思われがち。でも、今治にだって一流のミュージシャンを呼ぶことができるし、今治でも楽しいことができる、ということを若い人たちにもっと知ってほしい。」と豊島さん。
Uターンから15年近くが経ち40歳になった豊島さんは、「これからは20代の子がやりたいことがあれば手伝けをする活動がしたい」と言う。UターンやIターン希望の若者を増やす活動にも興味があるそうだ。「今治にはいい企業がたくさんあるけれどあまり知られていない。それを知ってもらいたいけれど、当たり前の就職活動じゃ面白くない。たとえば、地元企業の社長さんに1日バーテンダーになってもらい、今治に遊びに来たUターンやIターン希望の子たちにお酒を出しながら会社の話をしてもらうイベントとか…面白くないですか?(笑)」。そのアイデアと遊び心に元気をもらった。今治はまだまだ面白くなれる!