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バリィさんの今治探訪

今治の隠れた名所を、いまばりバリィさんが訪ねます

昭和レトロな金星川

 「ドンドビ」――なにかの呪文ではありません。今治のヒトなら、きっと誰もが知っている言葉。バリィさんも、もちろん知ってます。そう、今治の街の中心、ドンドビ交差点付近のこと。初めて聞く人にとっては、きっと摩訶不思議な言葉ですね。今回の舞台はドンドビ……ではなくて、そのそばを流れる金星川。ドンドビと金星川は、何やら関連があるようですよ。

ドンドビの由来とは

 さて、まずは「ドンドビ」のお話から。その不思議な名前の由来が、今治城のお堀にあるということを知っていましたか? 場所の名前は知っていても、成り立ちまで知る人は少ないのでは。現在の県道38号線に沿って東西に流れる泉川と、海に向かって流れる今治城の外堀が、ちょうどドンドビ交差点付近で合流していました。その合流地点の水門が、水を「呑んだり吐いたり」する様子から「呑吐樋(どんどび)」と名付けられたんだそうです。

 今では交差点の片隅に残された柳橋に佇む「どんどびの由来」の碑だけが、当時の面影を伝えている……。と、思われているかもしれませんが、面影はほかにも存在します。しかも、すぐそばに。ドンドビ交差点から今治商店街に沿って流れる金星川です。

今治城と金星川

 今治商店街の裏手を静かに流れる金星川が、実は今治城の外堀だったということを、どれほどの人が知っているでしょう。川幅はほんの6メートルほどですが、江戸の当時はなんと約30メートルもあったんだそうです。今の様子からは想像できませんね。

 かつての今治城は、瀬戸内海の海水を三重の堀に引き込み、海からお城へ直接入れるように専用の舟入(船着き場)まで備えていたというのですから、相当な規模です。しかし歴史は無情なもの。時代が流れ、明治維新が起こると、立派だった今治城は、石垣と内堀を残して取り壊されてしまいます。広大な外堀も、忘れられたように小さくなってしまったというわけです。

 ただ、周辺の人々の暮らしには、この小さな金星川が馴染んでいるようです。川沿いに並ぶ商店街の人々にとって、店の裏に流れる金星川は庭のようなものでしょうか。店先に出せない洗濯物を干したり、鉢植えの草花を育てたりと、時代の変化のなかで人々の生活に溶け込んできました。表の商店街がよそ行きの顔とすれば、裏の金星川沿いには、どこか親しみやすい生活感が漂います。その二面性が、不思議な雰囲気を醸しています。

金星川レトロ散歩のすすめ

 ふと見れば、金星川にかかる小さな橋と川の様子は、まるでイタリアのベニスのよう(と言えなくもない)。まるで映画にでも出てきそうな趣きのある風景です。時が止まったような雰囲気に魅せられたのか、最近ではカメラを構えた人の姿を見かけることも増えてきました。川のほとりにある純喫茶・不二家は、その昭和レトロな佇まいからも人気の撮影スポットになっています(名物のホットケーキも)。

 かつての広大な城の堀は、いつの間にか姿を変えて、私たちの生活の隣に存在する。こんな風に歴史というものは変化していくものなのかもしれませんね。そういえば、まちなかで時々見かける小さな水路、もしかしたらそれもお堀の名残りかも!? 散策をしながらかつての巨大な今治城を想像するのも楽しいものです。

 今治城の歴史の面影を探すもよし、ただただレトロな雰囲気を楽しむもよし、金星川に光を当てて、周辺の街並みを散策してみては? 当たり前の街の風景が、明日から少し変わって見えてくるかもしれません。あれれ、バリィさんはレトロな喫茶店でスイーツ散策がしたいのかな?

バリィさんのトリビア

今治銀座商店街(川岸端商店街)

 金星川沿いに軒を連ねる今治銀座商店街。古くは「川岸端(かしばた)商店街」と呼ばれていました。名前からも金星川の存在を感じますね。川岸端商店街は、明治維新以降、海の玄関口・今治港に接する商店街として発展。戦後の復興期からは港から駅方面への通行路としてさらに賑わい、「今治銀座」と呼ばれるようになったとか。

 呉服店、和菓子屋、金物屋、宝飾店、時計店……。人であふれた最先端の繁華街は、いつしか昭和レトロな商店街に。昔ながらの純喫茶や食堂を求めて訪れる人もいるなかで、世の流れからシャッターを降ろす店も多くなりました。一方で、コーヒーショップやカフェ、雑貨店などの新しい芽も見逃せません。商店街の変化を、金星川が静かに見守っています。

どんどびの由来の碑

 ドンドビ交差点に欄干が残る柳橋。その横にどんどび由来の碑があるのをご存知でしょうか? かつてこの場所に水門「呑吐樋(どんどび)」があったと伝えています。今では背後に"ドンドビジョン"がそびえ立ち、交差点に向かって水流のように情報が流れていくよう。街の風景は刻々と変わっていきますね。