今治市の産業を紹介
平成17年1月の合併により、世界でも類を見ない海事産業(造船業・海運業・舶用工業)が集積する「日本最大の海事都市」が誕生しました。特に、外航船主の集積は、世界を見渡しても香港かピレウス(ギリシャ)に匹敵すると言われ、更に全国屈指の造船業を加えた海事産業の集積都市は、世界的にも例がないと言われています。
今治市の造船業は、日本の造船界を代表する今治造船(株)(建造量国内第1位、世界第3位)や(株)新来島どっく(国内第3位・世界第6位)の本社など、全国一の集積を誇る18事業所を有し、建造隻数では国内の18%を占めています。また、今治市に本社や拠点を置いている造船会社のグループ全体では、日本全体の30%を超える船舶を建造し、建造隻数・建造量ともに不動の造船王国の地位を築いています。
舶用工業の分野では、ハイテク技術を駆使した最新鋭の機器が、今治の事業所から次々誕生し世界中の注目を集めています。造船所の周辺にはこれら舶用機器製造事業所も数多く集積しており、全体で1万人を超える人々が働く日本一の造船団地を形成しています。
今治市の外航海運業者は、約70社。日本の外航船の約30%にあたる船舶を保有しています。内航海運業者は、190社に達し、船腹量は県内シェアの約50%、国内の5%を占めます。内航の船腹量や外航船舶の保有隻数からいっても日本一の座を誇ります。
こうした産業集積を背景に、シップファイナンスを手掛ける損保会社や銀行の支店、国の出先機関である今治海上保安部、今治海事事務所等は充実する方向にあります。また、海事専門法律事務所、船舶保険会社、船舶管理会社等の海事関連企業が相次いで進出し、集積が集積を呼ぶ「海事クラスター」の構築が加速し「世界に誇る海事産業集積地」として発展しています。
今治市の造船業発展の背景には、波穏やかな天然の良港「波止浜(はしはま)湾」で潮待ち(汐待ち)する船舶修繕から発達したといわれています。当時の船の航行は潮や風に大きく影響を受けたため、日本海や瀬戸内海の各地には潮待ち、風待ちの港が数多くありました。
世界に名高い「造船長屋」と称され造船所が7社立ち並ぶ「波止浜湾」も潮待ち港のひとつでした。筥潟(はこがた)湾とも呼ばれるこの港には、来島海峡の急潮を航行する船が潮待ちで数多く立ち寄りました。その間に修理を行ったことから、船舶修繕を中心に今治市の造船業が発展したといわれています。
また、来島海峡は瀬戸内海でも有数の漁場であり、漁業が発達したことに加えて、操船技術の蓄積により海運業が発達したことを背景に、近代的造船業の発展を遂げています。
人材育成機関には歴史と伝統を有する「国立波方海上技術短期大学校」や「国立弓削商船高等専門学校」(越智郡上島町)が置かれ、船を動かす高度な技術と知識を持つシーマンの養成が行われています。平成17年4月には、「今治地域造船技術センター」が設立されました。