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今治で活躍している人にインタビュー

研修講師 水谷 紀子さん

 企業の新人研修や、ビジネスマナー、中堅社員や管理職にも役割に応じた研修を行う水谷紀子さん。さまざまな立場のビジネスマンを相手にするのは難しそうだが、研修講師とはいったいどんな仕事なのだろう。お話を伺ってきた。

今治発の研修会社

 取材の待ち合わせ場所に、手を振りながら現れた人。にこやかな笑顔が印象的だ。水谷さんは今治出身。会社や団体に所属せず、フリーランスの研修講師として活躍している。主としてビジネス向けの研修を行う講師というのは今治ではまだ珍しいが、水谷さんが行う研修とは?

 「季節によって違いますが、一番多いのが春の新入社員研修ですね。その後フォローアップ研修があり、秋は管理職研修など、年間を通して研修を行っています。」と水谷さん。決まった研修を行うのではなく、企業に出向いて話を聞き、依頼に応じた研修を組み立てる。さらにその合間には地域住民が参加する市民講座も行うなど、仕事の範囲は広い。今治だけにとどまらず、愛媛県内を中心にあちこち飛び回る忙しい日々だ。最近ではオンラインで県外からの受講もあるというから驚いた。

好きなことを仕事にする

 水谷さんは県外の大学を卒業後、今治へ戻り金融機関に就職した。銀行で窓口業務を担当したのち、人事部に異動する。そこで初めて社内研修を担当することになった。新入社員向けなど、社員の成長に合わせて研修のプログラムを考えること、研修を通して人と関わることは、水谷さんにとって楽しい仕事だった。忙しいが充実した仕事に手応えを感じていたが、10年が過ぎた頃、漠然と考えるようになる。この先40代50代になった時、自分はこのままでいいのだろうか?自分が好きだと思う仕事をしていくには?

 自分をリセットするように仕事を辞めた水谷さんだったが、その後宝物に出合うことになる。地域のボランティアをしたり、習い事をしてみたり、アルバイトも経験しながら次のステップを模索していた時、「電話応対を教えてほしい」と知人から依頼を受けた。週に数日、1時間と決めて行った久しぶりの研修は、水谷さんの心を動かす。

 「研修を受けた方が、それまで仕事をしてきてこの研修が一番楽しかった!と言ってくれて、私もとっても楽しかったんです。」と水谷さん。研修を受ける側と行う側、ともに感じた楽しさは、ただ楽しいだけではなく互いに理解し合ったことによる「身につく楽しさ」だ。“業務”ではない自由な研修もまた、水谷さんにとって新鮮だった。その時初めて、研修を仕事にしてみよう、そう思えたという。

研修は企業の健康診断

 「始めた頃はなかなか仕事がなくて…」と当時を振り返る水谷さんだが、人の紹介などから研修を始めると、その研修を受けた人のなかから別の研修を依頼されたり、同じ企業からまた翌年に声がかかるなど、着実に仕事を増やしていった。2回目はないかもしれないからと、一つひとつの研修に心を込める。立ち上げから10年がたち、今では年間80〜90本ほどの研修を行うまでになった。

 企業によっては1年間や3か月おきなど、長期で関わることも多い。特に大切にしているのは、企業の担当者と行う打ち合わせだ。「話をすると、今こういう問題にあたってるんじゃないかな、というのが感覚でわかります。」という具合に、問題はどこにあるのか、何に悩んでいるのか、何気ない会話のなかにもアンテナを張り、解決方法を企業と一緒に考える。「研修は、健康診断のようなものだと思うんです。」そう例えるように、定期的な見直しで病気(問題)の予防ができると水谷さんは語る。

 例えば、上司の口調が厳しく落ち込んでいる新入社員がいるとすれば、言葉の使い方の研修を提案する。同じ研修で、上司には話し方や伝え方を、部下には相手の背景を見て言葉の真意を理解する力を。研修としてみんなで考え、互いに模索していけばハラスメントに至る前に問題を未然に防ぐことができるという。その結果、実際に離職率が下がった企業もあったそうだ。「研修が大事だと思ってくれる会社が増えました。」それは研修講師として企業に伴走し、信頼関係を築いてきた結果だろう。

未来に花を咲かせる仕事

 企業だけでなく、2022年からは大学の非常勤講師として教壇に立つようにもなった。「いい会社とは何だろう?」をテーマに、CSR(企業の社会責任)を学生とともに考える。就職してお金を稼ぐことだけでなく、働き方、SDGs、家庭の幸せなどを一緒に考えながら、今の若者たちが将来企業の中心になる時に、より良い企業をつくれるよう導くことが目的だ。

 「楽しかった」「明日からできそう」そう言ってもらえるのが何よりうれしいと、研修の話をする水谷さんはとても楽しそうだ。休日でもつい研修のことを考えてしまうほど。自分の“好き”に、他にはないやりがいを見つけた。そんな水谷さんがこれから目指すものは?

 「今まで得てきた知識や経験をもっと深めて、たくさんの人に還元したいですね。常に新しい情報をキャッチしてお届けしていきたいです。」と答えてくれた。水谷さんは種を撒き、花を咲かせる人だ。今治にたくさんの花が咲く未来を期待したい。