今治で活躍している人にインタビュー
大澤さんは高知県出身。東京の大学を卒業後、今治市に本社のある食品会社に就職した。文書管理や秘書課、マーケティングや営業企画など様々なセクションで経験を積み、結婚、出産も経験、仕事と子育てを両立しながら13年間にわたる多忙な社会人生活を過ごす。数年前に退職し、好きだった洋服に関わる仕事がしたいと一念発起。スタイリングカウンセラー®、スカーフストールスタイリスト®、インストラクターの資格を取得、フリーランスでパーソナルスタイリストの仕事をスタートさせた。
大澤さんの現在の仕事は、個人のスタイリングから、販売員向けの研修、セミナーや講演、店舗内展示まで多岐にわたる。この日は、週に一度ペースでスタイリング提案を行っているというユニクロ今治店へ。ショップとコラボして、季節やシーンに合わせたファッション提案エリアを店内に設置しているのだ。この週のテーマは「参観日」。トレンドのカラーを取り入れつつ、きれいめで動きやすいファッションがポイントだそう。ほかにも「初詣」「新年会」など週ごとのテーマを決めて、店内の洋服や小物を使って展示を入れ替えている。「大好きな洋服にたくさん触れることができて本当に楽しい!」と大澤さん。お客様の評判も上々だ。
個人向けのスタイリング提案では、カウンセリングとショッピングアテンダントもおこなう。大澤さんは、クライアントが自分をどう見せたいのか、どんな風になりたいのかをじっくりとカウンセリングし、体型や似合う色から理論に基づきその人にぴったりのファッションを提案する。スタイリストというと芸能人など特別な人のためだけの存在と思われがちだが、「自己プロデュースの大切さは一般の人も同じ。見た目の印象はとても大事です。」と大澤さん。服装で見た目の印象はずいぶん変わる。また、そのことが自信につながり気分も明るく前向きになれる。
最近では、若い男性からデート服のスタイリング依頼があったり、婚活用ファッションのアドバイスを求められたり、お客様の人生に関わるような大切な洋服選びのお手伝いをする機会もあるという。プレッシャーを感じることも多いが、お客様から「彼女ができた!」「婚活が上手くいった!」などの報告を受けると、自分のことのように嬉しいし、やりがいを感じるそうだ。
また、大澤さんは、2019年10月にSDGsに掲げられている地球環境問題をテーマにしたイベント「100年後の地球を考えるTシャツアート展in今治」を企画した。所属している国際スタイリングカウンセラー協会から、ファッション業界が抱える洋服の大量在庫・大量廃棄の問題と、海洋プラスチックという世界的な環境問題について考える、という課題に対し、高知の砂浜美術館(Tシャツアート展)をヒントに立案。著名人の講演やプラスチックごみなどから再生したTシャツを使ったデザインコンテストなど、ユニークな取り組みを行い、大きな話題となった。
大澤さんは二児の母親でもある。今治に移り住んで「若い人が少ない」という印象をもったそうだ。確かに進学や就職を機に今治を離れる若者は多い。都会への流出は避けられない部分はあるが、若者が帰ってきたいと思えるような町、そして今の子どもたちが大人になったときに今治で楽しいことがたくさんある町にしたいという思いで活動をしている。これからは企業向けにワークウェアの提案などにも挑戦する予定だそうだ。大好きな洋服に携わることのできる喜びを胸に、大澤さんは今日も誰かに素敵なファッションを提案している。